日々徒然愉快探索

アラカンおひとりさま生活を徒然なるままに。

高畑山からの下山途中、聞こえた足音は。

土曜日、JR梁川駅からスタートして、倉岳山、隣の天神山、その隣の高畑山まで歩き、鳥沢駅に下りた時の、はみだし話。


正午に倉岳山の山頂に着いた時は、富士山こそ雲に隠れて見えなかったが、明るい晴れ空で、大勢の登山客で賑わっていた。私は倉岳山頂を通過して先へ進んだ。少しずつ雲が広がってきて、1時間後に高畑山頂に着いた時には、曇り空に変わっていた。こちらの山頂にはひとりも登山者がおらず、静かだった。ここで休憩することにし、お湯を沸かしてカップ麺を食べる準備を始めた。ザックに下げた温度計を確認すると、12度を示していた。歩いている間は大汗を掻いていたのに、じっとしていると冷えて寒くなってきた。ザックからヤッケを取り出して羽織った。
カップ麺のスープの暖かさが心地良い。10月の初めから週末毎に山登りしているが、季節が移ろっているのを実感する。次の週末も山に登るなら、Tシャツの下にインナーを1枚足してもいいかもしれない。


食後のコーヒーを飲み終わり、下山を開始した。高畑山から鳥沢駅までは、ほとんど下りの一途だ。ポイントの「石仏」までは、黄葉したブナ林の中を降りてゆく。もっと季節が進めば、枝の葉が全て落ち地面に積もってふかふかになるだろう。そんな冬枯れの登山道を歩くのが大好きだ。これからの季節が楽しみだ。次はどこの山に登ろうか、その次は・・・。



ポイントの「石仏」を通過すると、水の流れる音が聞こえてきて、辺りは岩や石が露出した登山道に変わっていた。浮石を避けながら歩いていると、後ろから足音が近付いてきた。先に行ってもらおうと思い、立ち止まって振り返ったが、後ろには誰もいなかった。気のせいか、と歩き出したが、また後ろで足音がした。立ち止まって振り返ると誰もいない。体がゾクっとした。前を向いて歩き出すと、また音がする。立ち止まって振り返ると誰もいない。ゾクっとする。



歩き出すと聞こえてくる足音は、ザックの中身が減ったのに付いてるベルトを調整しなかったせいで、浮石を避けながら歩く動きに合わせて中身が踊る音。立ち止まって振り返るとゾクっとするのは、汗冷えのせい。そう自分に強く言い聞かせて、その後は登山道が終わるまで、後ろを振り返らずに歩き通した。

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